江戸川は東京都と千葉県の境界になっており、京成本線は（江戸川ー国府台）駅間で川を渡る。この川を渡る路線はJR総武線（小岩ー市川）、常磐線（金町ー松戸）、千葉県内だが京葉線（市川塩浜ー二俣新町）もある。都営新宿線（篠崎ー本八幡）、市川市に入っているが東京メトロ東西線（妙典ー原木中山）もある。

東西線

幼き日一日すごしし河川敷今東西線にて一瞬に過ぐ　　（江戸川）　　大川匡子[2014]『体内時計』抄

総武線

お相撲さん四人黙つてスマホして各駅停車は江戸川渡る　　北島邦夫[2015]『ミントブルー』

総武線いくたびよぎる江戸川の県境とう此岸しぐれやすしも　　佐波洋子[1991]『光をわけて』

銀、紺、黄の電車三台空（くう）に浮きそれぞれに春の江戸川を越ゆ　　日置俊次[2007]『記憶の固執』（小岩駅？）

帰つたら猫たちみんな抱きしめて眠らう　くらき江戸川わたる　　田中律子[2021]『森羅』

常磐線

風速二十五メートル江戸川渡れぬ常磐線知恵絞り行く期末テストの子は　　須藤冨美子[2016]『銀色の「１」』

スカイツリー車窓に遠く眺めつつ初冬夕べの江戸川渡る　　須藤冨美子[2016]『銀色の「１」』

「一日一時間」と決めて歩けば隣駅も江戸川堤も至近の距離なり　　久々湊盈子[2017]『世界黄昏』

江戸川の鉄橋手前にいつも見る〈玉三白玉粉〉なる看板　　三井修[2019]『海泡石』

不明

江戸川の濁流一瞬見て過ぎぬ満員電車朝（あした）ひた走（は）す　　都筑省吾[1989]『星の死（未刊）』

江戸川のながき鉄橋こえながら内積０の流れとながれ　　山下翔[2018]『温泉』

麩のやうな雲浮かびをり早春の江戸川渡る列車に見れば　　栗木京子[2010]『しらまゆみ』