荻窪JR中央線
M丸ノ内線
荻窪をゆふかぜ吹けりをぎくぼといふ名無かりし遠世の風音 
 高野公彦『水行』
パチンコを覚え初めしが荻窪の駅裏、映画館の隣りであった 
 浜田康敬『百年後』
荻窪に病み臥す父を二週間訪はざりしかば冬深みたり 
 前田透『漂流の季節』
風さむき夜の荻窪かへり行く堪へ難き子の病見るべく 
  (同) 
門のへに飯の椀ひとつ碎けて荻窪の一劃に音まぎれなし 
 森岡貞香『百乳文』
荻窪は来る度に雨 ほの暗きトイレの壁に「住ミタイ」の文字 
 石川美南『裏島』
荻窪の〈立ち呑み金魚〉ホームよりとくと見えたり看板のみが 
 池田はるみ『南無 晩ごはん』
荻窪より池袋へと転居せし娘の住む街にいまだ馴染めず 
 角広子『揺らぐ視界』
太宰治が五たび居を変えし東京の荻窪の地に娘も二度転居す 
  (同)