| 新宿 | JR山手線 JR中央線・埼京線 小田急小田原線・京王線 Ｍ丸の内線・都営新宿線・都営大江戸線 |
| 君の待つ新宿までを揺られおり小田急線はわが絹の道 | |
| 俵万智『サラダ記念日』 | |
| 新宿駅の裏手に浄水場ありしことその茫漠のかなたに「独歩」 | |
| 花山多佳子『空合』 | |
| 新宿を発ちてたちまち山並みへ突きささりゆくスーパーあずさ | |
| 花山多佳子『胡瓜草』 | |
| 構内に電車入り来るとどろきのこもごもにして狭霧うつろふ | |
| 〔新宿駅〕 | 岡山巖(1936)『思想と感情』 |
| 焼売の包はいまだあたたかし真昼新宿の人通りの中 | |
| 松村英一 『露原』 | |
| 恋に美醜なきと思はず新宿駅地下のあけびのにぶきむらさき | |
| 米川千嘉子『夏空の櫂』 | |
| そのコールテンの上着に触れたくて新宿駅で降りてしまつた | |
| 田村元『北二十二条西七丁目』 | |
| 眠らざる太郎次郎にまぎれつつ新宿駅の夜の明るさ | |
| 後藤由紀恵 『ねむい春』 | |
| 新宿駅西口コインロッカーの中のひとつは海の音する | |
| 山田富士郎『アビー・ロードを夢見て』 | |
| 新宿の西口街路の愛しけれ値切りてストロボ求めしことも | |
| 小林信也『合成風速』 | |
| 新宿は土曜日の午後 目をそらしあふことがとても美しい街 | |
| 目黒哲朗 『CANNABIS』 | |
| 新宿駅に地下鉄も地下街もアルタスタジオもなかりしころの昼間の明かり | |
| 佐佐木幸綱(角川2010年12月号) | |
| 新宿駅の花屋に花はあふれつつ水あげのわろき日本のくらし | |
| 斎藤芳生（角川2011年12月号） | |
| 新宿をあまねく渡る陽の下に西口出でて行く人の群れ | |
| さいとうなおこ（角川2012年10月号） | |
| 新宿の夜あけの街に今着いた東京市民の糞はこぶ牛 | |
| 坪野哲久 『九月一日』 | |
| 宵はやく新宿どほり歩き来て蝦蟇（がま）のあぶらを買ひて持ちたり | |
| 斎藤茂吉『あらたま』 | |
| 新宿のムーラン・ルージュのかたすみにゆふまぐれ居て我は泣きけり | |
| 斎藤茂吉『白桃』 | |
| 新宿にかへり来しとき午ちかく春のはだれは間なくし解けぬ | |
| 斎藤茂吉『暁紅』 | |
| 新宿にデザイン競うビル並みて夕陽は虹とまがいて煌う | |
| 大河内つゆ子(歌壇2009年4月号) | |
| 夕日さす新宿地下の雑踏に紛れて歩む亡き友の影 | |
| 高野公彦(角川短歌2010年1月号) | |
| 新宿の風月堂に集いゐしヒッピーたちはいかに老いしか | |
| 花山多佳子（短歌往来2012年10月号） | |
| 渋谷から新宿へ出て帰り来ぬ改札口を抜ける潮の香 | |
| 大滝和子(短歌往来2006年7月号) | |
| 間違ひを認めぬ小田急新宿駅駅員のさかしら顔にふとも疲るる | |
| 森本平(短歌往来2007年9月号) | |
| 新宿の人波を縫い思い出す「今に、今に」と塵中の声 | |
| 一葉 | 三枝昂之(角川短歌2019年7月号) |
| 新宿西口 | 都営大江戸線 |
| 雨の日の新宿西口金属をひつかいたやうなエゴン・シーレに会ふ | |
| 久我田鶴子 『ものがたりせよ』 | |
| 世を棄てし寒さと棄てぬ寒さあり新宿西口地下道を行く | |
| 小島ゆかり 『希望』 | |
| お札という紙をくじという紙に換え新宿西口さくさく歩く | |
| 俵万智 『チョコレート革命』 |