| 高井戸 | 京王井の頭線 |
| 高井戸の煙突しろく曇り日の灯の点滅のひたむきのさま | |
| 石本隆一『いのち宥めて』 | |
| 待つとなく一人ながむるむさし野の高井戸のそら春らしくなりぬ | |
| 片山廣子『野に住みて』 | |
| 高井戸のわが家の井戸の水涸れてよろこびひとつ消えし思ひす | |
| 木俣修『雪前雪後』 | |
| 高井戸に十年（ととせ）は過ぎぬ逃避者のかたちに生きてすがしかりしか | |
| 同 | |
| 落目の日にことばたまひし人こほし高井戸に冬の匂みちきて | |
| 同 | |
| センチメンタル・ブルーブラック首都高速高井戸あたり霧濃くなりぬ | |
| 小島ゆかり『エトピリカ』 | |
| 退院の妻を交へて何食はむフォルクス高井戸店に来りて | |
| 島田修二『草木國土』 | |
| 足る如く春吹く芽をば見歩きぬ高井戸村の植米とわれ | |
| 与謝野晶子『心の遠景』 | |
| 高井戸の駅むらさきにけむるほど桐咲く五月目を閉ぢてみよ | |
| 水谷文子 『霜葉』 |