櫛田如堂『よいむなや』（2022年；ながらみ書房）
こめんと
第４歌集。帯・坂井修一。放射線の研究者、コカリナ（ハンガリーの木の笛）奏者、禅の修行者、歌人と多くの顔を持つ。妻を亡くして7年。猫と暮らす。エネルギッシュで多くのことに心を寄せる作者である。歌集名はひふみ歌の「ひふみよいむなや、、、、」から、第4歌集であることを考慮してひふみに続く4番目から取ったという。ひふみ歌についてはあとがきで解説されている。
付箋
たをやかな細き宛名の文字に知る歌友より来し手紙なりけり
服のよき濃茶いただくこの座敷おほ先生の確かなる所作
君の手が闇からにゅうっと出てきたら驚くだらう嬉しいだらう
君ありし時よりおほし意味もなくことあるごとに君を呼ぶこと
このゆふべ塩焼きサンマ食むわれの隣りに坐るは魚食べぬ猫
夜九時の梵鐘を打つ八つ目は小さくやさしく九つ目は強く
ないはずはないと探してまた探し諦めたころ失せ物は出づ
赤信号待つ間にちょいと一笑ひ二笑ひして真顔に帰る
様々な思ひは門の内側に残して去らむ明日から四月
「ひまわり」の甘く切なきメロディをコカリナで吹く 戦争をやめよ
