岩井謙一「バベルの時代」（2025年；ながらみ書房）
こめんと
第6歌集。後書きに今までの5歌集の抄録がある。第1歌集『光弾』は現代歌人協会賞（真中朋久『雨裂』と同時受賞）。心ひかれる歌は多かったが選べなかったのはわたしのキリスト教への苦手意識もある。
付箋
いつわらぬ影が伸びしてあくびする冬の夕べの深まりたれば
地球には見えぬ日の出をわれは見るただに小さく小さくあれば
街灯のすべてが消える一瞬にアクセル踏みて朝へ入りゆく
祈りつつDereteキーを叩きたり消し去りがたきがただ一つあり
風あれば隣の駅を通過して電車追い越しわが立つ駅に
靴で入り靴で出でたる投票所ブルーシートの敷かれておりて
