勝手に付箋

こめんと

付箋

ぼろぼろの小学校にみなぎりしＤＤＴの可笑しきちから
際立って面白さうに踊りたる後ろ姿はいづくより来し
父の品　呼び鈴ひとつ貰ひたり世にはあらざるしはぶきを呼ぶ
だらしなく暮るるひと日がわが大事　子亀の上に親亀乗つて
ふとわれは山を見むとて振り向けるこの東京に山はをらずも
われつひに粋人たるを諦めて押入れの奥の唐傘を捨つ
こんなにもこはれてしまつた人だものふところに入れ雪をさけよう
これの世に点して売るは退屈を　午前三時にたはし買ふひと
火を渡り谷を駆け抜け子は行くとある日は思ふ馬鹿と思へど
死ぬ母に死んだらあかんと言はなんだ氷雨が降ればしんしん思ふ