勝手に付箋

加藤武朗『源流』(2011年7月:青磁社)

こめんと

第1歌集。名古屋市在住。解説・吉川宏志。

付箋

落ちる雨いよよ激しくなりゆけり雲から距離の無き雨が降る
雨後の扇谷にて大きなるアマゴを釣りし遠き夏の日
ぐいぐいと引くはマダカに違いなし海面近くきらりと光る
腹でなく胸抜けしゆえ助かると軍医に言われ意識失せたと
倒れたる父を助けて負いくれし若尾とう人のちに戦死と
友のため別の友には嘘をつくかなしき年の暮れ方となる
うまいうたはあきませんよと歌上手き裕子先生の言い給いたり

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