島田章平「百歳の母」（2024年；青磁社）
こめんと
歌集『百歳の母』と句集『ほたるの宿』が一冊になった歌句集。跋・三井修（歌集）、井上康明（句集）。短歌について言えばややぎこちなさがあるが、一生懸命素直に詠んでいる感じに好感を持った。俳句については省略。
付箋
亡き君のしまひ忘れし夏帽子 四年経つたよさあ出掛けよう
一月は十日違ひの誕生日 歳を取るのは僕だけなんだ
マスクして出かける街のなんとなく人の眼ばかり気にかかりをり
「この人が心配なの」と言ひし君 五年を独り無事に生きてる
君逝きて廊下を独り拭いてゐるクイックルワイパーに慣れたよ
裏切られ裏切られまた裏切られ長かつたダメ虎の日本一
看護師の声を素直に聞きながらあかんべをする百歳の母
亡き母の四十九日もはや過ぎて小さな旅に行つてみようか
