仲閒節子「シンギングサンド」（2020年；現代短歌社）
こめんと
第1歌集。解説・米川千嘉子。帯・馬場あき子。宮古島出身、東京での大学生活を経て、現在沖縄市在住。祖母から聞いた宮古島のはなし。沖縄戦で戦死した祖父。基地の島で暮らすこと。様々なテーマが詠い込まれている。東京から発信されるニュースだけではわからない沖縄で生きる人の声が感じられる。
付箋
ＮＨＫに生の正しき日本語を学ばんとして真剣に見き
そびえたつ議事堂は朝霧のなか 捨石に二度なりし沖縄
一粒のゴミを気にして一時間こころがゴミでいっぱいになる
岩肌を舐め回しつつ砕け散るときに虹あり残波岬に
「成功の敵は不平」と日めくりを声に読みあげ夫は出で行く
祖父の顔知らねどその名見つけたる今日は礎に古酒を酌む
鳴き砂も埋め立てられて一切の泡瀬干潟の声の止むとき
