勝手に付箋

こめんと

付箋

ひと木ひと木の桜に名前をつけたしと思いしままに歳月は過ぐ
もう人はあてにしないと夕空を見ておりこころ晴れ晴れとして
感情を抑えたような人の声風なき道にしばしとどまる
いつもいつもうわの空なるわたくしは今宵おおきな西瓜を運ぶ
いつしらに車内は夕日に満ちており誰も彼もが目瞑りており
音すべて呑みこまれたる雪の午後窓をななめに走る影あり
晴れながら降る昼の雨見ておりぬ病室の白き窓に寄りきて
干されいし帽子のなかに入る風の楽しみ方をしばし見ていつ
うすあおき二階の部屋はガラス箱　消えゆくばかりのかなかなを聴く
予報士が棒指していう雪ふぶきわが生まれたる位置に止まりつ