丸山順司「鬼との宴」（2023年；ながらみ書房）
こめんと
第2歌集。普段の暮らしの中で浮かんできた言葉を書き留めている、と後書きにある。奇をてらわず懲りすぎることなく自然体の歌が魅力。
付箋
傘をささず人みな行けりわれのみは傘さしてゆく夕刻の土手
アスファルトの道に穴あり裂け目あり吸はるるやうに雨流れゆく
何事かと思へばポケモン出るといふ駅前広場に人ら屯ろす
ゆつくりと雲が動けりいちめんに黄水仙咲く丘見おろして
我はもはや不要不急の人となり雨ふる朝をすずろに歩む
ランタナの花粒あまた地に散りて風吹けば風に寄せられてゆく
このままでよいかと問はれそのままでよいと答へぬ あんぱん一つ
