勝手に付箋

田中拓也「雲鳥」(2011年;ながらみ書房)

こめんと

本当は4月に出るはずの歌集だったが3月11日の地震を水戸市で被災したことをきっかけに、地震の一連を追加して、11月発行としたそうだ。

付箋

千切れ飛ぶ真白き雲の影走る霞ケ浦の水面眩しも
黙々と因数分解解く少女時々ハートマークも描いて
鉄砲町鍛冶町大坂町を来て銀杏坂にて君に遭いたり
たそがれてゆく街角の古書店のごときあなたを思い出す 夏
白梅はもう咲かざれば故郷の家を訪ねる理由一つ減る
言葉より心生れたり心より言葉生れたり 新月の夜

あかねさす朝の光が溢れ来る東の空に雲がたなびく

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