浦河奈々「サフランと釣鐘」（2013年；短歌研究社）
こめんと
第2歌集。「死にゆく母を詠うという経験とそれを歌集として編むという経験の中で歌詠みとして在ることののっぴきならなさを感じました。」と後書きにある。
付箋
よそゆきの母としばらくぶりに会ふ黒いテリアの散らばるブラウス
しもばしら踏めばゴジラの気持ちかと問はれる あなたもやつてごらんよ
「いわきナンバー」ばかりの公園駐車場よぎりておもふ日曜の朝
植木鉢いくつもいくつも空けてゆく 母がこの世に居ない晩秋
母亡くてけふも国道六号に虹みゆつひに潜れざる虹
