西村美智子「邂逅や」（2018年；青磁社）
こめんと
第１歌集。解説・永田淳。巻頭の家族と戦争の一連は台湾に行き終戦後引き上げの経験を作品にしたものだが、迫力があり、重みも感じた。
付箋
祖母と母争う声に泣きたれば「うるさい」と父われを殴ちたり
天そそるビル陰に臥すデイケアに老いどち語ればいくさは昨日
大いなる虹立てば誰か来よと呼ぶ木霊のほかに来る者なきに
風とよみ雲なみうてる午後にして今年最初の雪降りきたる
戦後青春まことに昏きときなりき自死も思わず生きのこりたり
雪のくる気配を告げてヘルパーさん赤きコートを羽織りて去りぬ
毎夜毎夜孫はメールを打ちきたるばあちゃん元気？カープ負けたよ
国防の檄を宰相飛ばすとき議員起立す戦争を知らず
