浅草駅

• 浅草の仏つくりの前来れば少女（をとめ）まぼしく落日（いりひ）を見るも
  明治38年ー明治42年
  
  
• かなしみてたどきも知らず浅草の丹塗の堂にわれは来にけり
  大正2年　おひろ其の1
  
  
  • 斎藤茂吉 『赤光』
  
  
  
• あなあはれ寂しき人ゐ浅草のくらき小路にマッチ擦りたり
  
  
  • 斎藤茂吉 『あらたま』
  
  
  
• 浅草の八木節さへや悲しくて都に百日あけくれにけり
  
  
• 少し前参道とほり浅草の人ごみのなかに時移りゆく
  
  
  • 斎藤茂吉 『つゆじも』
  
  
  
• シエフアドも既に常識となりたるか浅草皮店の路地にも居たり
  
  
• 洋傘（かうもり）を持てるドン・キホーテは浅草の江戸館に来て涙をおとす
  
  
• 浅草のみ寺にちかく餅（もちひ）くひし君と千樫とわれとおもほゆ
  
  
• 罪ふかきもののごとくに昼ながら浅草寺のにはとりの声
  
  
  • 斎藤茂吉 『寒雲』
  
  
  
• 光（かげ）ひろき春の彼岸の入日ぞらわが子つれたり浅草寺内
  
  
  • 岡麓『小笹生』
  
  
  
• 浅草寺にけむりを手繰りつつ仰ぐうす青く灯るスカイツリーを
  
  
  • 花山多佳子（角川2013年7月号）
  
  
  
• 浅草の夜のにぎはひに／まぎれ入り／まぎれ出で来しさびしき心
  
  
  • 石川啄木『一握の砂』