現代短歌新聞

菜の花の群れ咲く路を通り抜け千葉セクションの露頭を見に行く
チバニアンとカラブリアンの境界にゴールデンスパイク設置されおり
思ったより大きな真鍮の標識が崖の真中にきらりと光る
偶然が重なり地層に記録あり地球の磁場が逆転するまで
地球磁場が逆の世界はいかならむカエデもイチョウも変わらず生き継ぎ

記念館に一葉の手紙を見に来たりひとりで来しは初めてなりき
今までは幾度も母と共に来て大福帳も文机も見し
向こうっ気の強さが好きと母言いき一葉日記の斜めの文字に
七度目の年女待たずに母は逝き還暦の卯年がわれに巡り来
祖母、母、われと三代卯年生まれなり愚図と泣き虫しっかり受け継ぎ