（塔・働く女性特集・エッセイ2008年1月）
無事是名馬
独立行政法人職員（研究職）
昭和63年に１種試験で採用されてからもう20年になる。研究者として名を残すような実績はないが、幼い子供を抱えて論文博士も取ったし、自分で言うのも何だがまあまあ幸せな方ではないかと思う。国家公務員から非公務員型の独立行政法人職員に身分は代わり、職場は大きく変わったが、勤め人としては、こつこつとまじめに働いてきた。続けるということは傍で見ているほど簡単ではない。学閥があり、女性差別があり、嫌がらせがあり、今思い返すとよく無事に来たな、と思う。生身の人間であるから健康にも精神的にも小さな綻びはあった。大きく破綻しないでここまで来られたのは、やはり地球科学が好きなのだと思う。親しくしている私大教授（女性）に言われた「頑張ってはいけない。日々頑張りすぎると、本当に頑張らなくてはいけないときに頑張れないし、何よりも頑張らなくてはいけない時を見誤る。」という言葉を肝に銘じて、無事是名馬をめざしている。
上司と同じヴィジョンをわれは持たぬゆえ研究者なり そう信じおり
